2009年12月11日 18:43
冬になるとすねや腕がかゆくてたまらないという人、結構多いのではないでしょうか。
その原因の多くは肌の乾燥です。
特に高齢者は肌が乾燥しやすいため、かゆみに悩まされる人が多いのですが、最近では、若い人にも乾燥によるかゆみを訴える人が増えています。
かゆみが起こりやすいのは皮膚が乾燥しやすいすねや太もも、腕、わき腹、腰などで、かさかさして白く粉を吹いたようになります。
なぜ皮膚が乾燥するとかゆみが起こるのでしょうか?
健康な肌の場合、肌の表面に近い角質層の細胞の中の天然保湿因子(アミノ酸)や角質細胞間の脂質(セラミド)が水分をしっかり保つとともに、汗と皮脂が混ざり合ってできた皮脂膜が表面を覆って水分の蒸発を防ぎ、さまざまな刺激から肌を守っています。
しかし乾燥によって角質層の脂質や水分が失われ、細胞間にすき間ができて粗くなり、外からの刺激を受けやすくなります。
そこへ、本来なら肌の深部にある、かゆみを感じる神経が表面まで伸びてきて、外からの刺激を直接受けるため、かゆみを感じるようになります。
また、その神経は外からの刺激を受けると、かゆみを引き起こす「ヒスタミン」の放出を促すように働くため、さらにかゆみを生じやすくなります。
かゆいからと皮膚をかくと、その神経を刺激してますますかゆくなる悪循環におちいることに。
年をとると肌の新陳代謝が低下するため、肌の潤いを保つ天然保湿因子、角質細胞間脂質、皮脂膜などが減少して皮膚が乾燥しやすくなります。
高齢者にかゆみが生じやすいのはそのためですが、若い人のかゆみの原因は「洗いすぎ」と考えられます。
冬なら毎日体全体を石けんで洗う必要はありません。
お湯につかるだけでも体の汚れの大部分は落ちるので、皮脂分泌の多い部分は毎日洗い、乾燥しやすい部分は週に1~2回というように、メリハリつけて洗いましょう。
皮脂の多い背中や胸の中心部、汚れやすい手足や股、首、顔などは毎日石けんで洗い、ほかの部分は人にもよりますが、週に一度でも十分でしょう。
石けんはよく泡立てて、手のひらや刺激の少ない木綿のタオルでやさしく洗い、皮脂を奪う熱いお風呂や長湯は避けましょう。
入浴後はすぐに水分をふきとり、ローションやクリームでしっかり保湿を。
入浴以外に、かゆみの原因となる冬の乾燥肌を防ぐセルフケアのポイントを紹介しましょう。
1.保湿剤をこまめに塗る
尿素、ワセリン、セラミドなどが配合された保湿剤がよく使われており、医療機関で処方してもらってもよいし、薬局でも手に入る。実際に試して、自分に合うものを見つけよう。入浴後、肌がしっとりしているうちに塗るのが効果的。
2.暖房は控えめにして加湿する
エアコンは冬の乾燥した空気をさらに乾燥させる。
設定温度は低めにして、加湿器を使う、水を入れた器を部屋に置く、洗濯物を室内に干すなど、加湿を心がけて。
湿度50~60%が望ましい。
3.香辛料やアクの強いものはとりすぎ注意
香辛料、ほうれん草やたけのこ、さといもなどアクの強いもの、トマト、イチゴ、チョコレートなどは、かゆみを起こしたり強めることがあるので食べすぎないように。アルコールも同様。
4.ストレスをためず睡眠を十分とる
肌の新陳代謝は睡眠中やリラックスした状態で活発になる。寒い冬はただでさえ新陳代謝が低下するため、睡眠不足や不規則な生活、ストレスは避けて。運動、栄養バランスにも気を配りたい。
かゆみが強い場合やかきむしって湿疹ができたときには塗り薬が必要です。
また、かゆみは乾燥肌以外にも、じんましんやアトピー性皮膚炎、糖尿病や腎臓病などの内臓の病気が原因で生じる場合があります。保湿剤を塗ってもかゆみが続く場合は、まず皮膚科の専門医を受診しましょう。