2010年01月25日 14:40
【どうして季節の変わり目に風邪を引きやすくなるの?】
どうして免疫力が弱くなると風邪を引きやすくなるのでしょうか。
そもそも風邪ってなんですか?
「風邪」は本名「風邪症候群」といい、咳、痰、くしゃみなどの呼吸にまつわる症状と、熱、頭痛などの全身症状、さらに下痢などの消化器症状が出現する病気の総称です。
そして風邪の90%がウイルスによって起こることがわかっています。
言い換えると、風邪とは、主にウイルスが鼻、のど、空気の通り道の上のほう(=上気道)に住みついて(これを感染といいます)、せき、痰、くしゃみなどの症状をひきおこす急性の炎症の総称ということになります。
「かぜをこじらせると肺炎になる」というのは、本来ならのどで治まる炎症がのどから気管、さらには肺(=下気道)といった奥深くまで及んでしまうということなのですね。
◆それではウイルスって何?◆
それではウイルスとはなんでしょうか。
大雑把に言えば「ウイルスは、病気を引き起こす微生物の中で一番小さく、一人ではいきてゆけないもの」と思っていただければよいと思います。
そして、ウイルスには実は抗生物質は効きません。
ですから、基本的には風邪は自分の治癒力=免疫力で治すしかないのですね。
◆インフルエンザは風邪ですか?◆
広い意味ではインフルエンザは「インフルエンザウイルス」というウイルスがひきおこす「風邪症候群」の一種です。
ただ、普通のかぜが鼻やのどやおなかの局所症状が主で、2、3日、長くても1週間くらいで治るのに比べ、インフルエンザウイルスによるかぜは全身症状をひきおこし、しかも症状が重いので、狭い意味では普通のかぜとは区別しているのです。
ですから「風邪」は広い意味ではインフルエンザを含み、狭い意味では含みません。
ちなみに、かつて、世界的に大流行をひきおこした「スペインかぜ」「香港かぜ」などは今の言い方で言えば「スペインインフルエンザ」「香港インフルエンザ」なのですね。
余談になりますが、夏かぜと冬かぜの違いはウイルスの種類の違いといわれています。
一般的に冬のウイルスは低温、低湿度を好み、夏のウイルスは高温多湿を好みます。
ウイルスにもいろいろ好みがあるのです。人間と一緒ですね。
◆どうして風邪は治るの?◆
では、普通の風邪の場合、なぜこじらせなければ炎症はのどまでで治まるのでしょうか?
実は風邪を治すのは、非常によくできた、免疫システムという体の防御反応が働いています。
そもそも、ウイルスに対する体の防御反応と細菌(ばい菌)に対する体の防御反応はちょっとシステムが違います。
細菌は一人で増えることができるので、私たちの細胞の外で勝手に増殖して悪さをします。
ですからお薬(抗生物質)がよく効くのです。
ところが、ウイルスは一人で増えることができないので、まず、私たちの細胞に入り込んで、そこで増えて悪さをします。
いわば、敵が、そうとわからないように味方のなかにはいっているようなものです。
しかし、人間の免疫システムはよくできているので、ウイルスに感染した細胞を殺したり、ウイルス自体も殺すシステムがあるのです。
体からウイルスを排除する期間が5日から1週間、つまり風邪が治るまでの期間はそのくらいということです。
抗生物質はウイルスそのものには全く効かず、風邪ウイルスとの戦いで傷ついた場所に細菌が入って、さらに炎症が広がることを防いだりするために使われます。
そして、風邪薬は、鼻水がひどければ鼻水を止める、咳がつらければ咳を止める役割でしかないのです。
元気なら「風邪薬無しでも風邪が治る」のですね。
◆咳やくしゃみもカラダを守る仕組み!!◆
くしゃみ、鼻水はうっとおしいですよね。でも、これは鼻粘膜にくっついたウイルスを外に流しだす仕組みなのです。
さらに、咳や痰はのどの粘膜についたウイルスを吐き出すためのもの。
そして、発熱は、高熱にしてウイルスを死滅させようというからだの反応の一環です。
「無理に熱を下げないほうがよい」といわれるのも理にかなっているのですね。
ただ、あまりに高温になりすぎると正常な人のたんぱくにも影響があるので、頭を冷やすなどの対処が必要なのです。
たかが風邪、されど風邪。私たちの体の中には様々な仕組みが備わっているのですね。
インフルエンザにはお気を付けください。